
油封ロータリーベーン真空ポンプの油は、潤滑剤だけではない。ベーンとポンプ室の間に油膜を形成し、圧縮室の漏れ経路を塞ぐ。これが油封式ポンプで 0.1 mbar 台に到達できる前提であり、同時に圧縮熱を運び去り、摩耗粉やダストを包み込んで油タンク底部へ沈める。したがって油を選び間違えると、現場で見えるのは「摩耗が少し早い」ではなく、真空度が上がらない、排気時間が長くなる、油交換回数が倍になるといった現象である。以下では「選び方」と「混合可否」を分けて説明する。
1. まず真空度で油種族を決め、次に使用条件で粘度等級を決める
ISO 6743 では、圧縮式油潤滑容積ポンプ用油を D 族に分類し、作動真空度によって低真空、中真空、高真空の三段に分け、各段をさらにガスの腐食性の有無で二区分に分けている(DVA/DVB、DVC/DVD、DVE/DVF)。ドイツの DIN 51506 は添加剤と負荷で分類する別の体系である。VB、VC は添加剤を含まない鉱物油型、VBL、VCL は酸化防止添加剤を加えたもの、VDL は高圧・重負荷向けである。両者に共通するのは、真空度が高いほど、負荷が重いほど、油の酸化防止性と低蒸気圧性への要求が高くなる点である。
当社の単段油封ロータリーベーン真空ポンプ V0025A から V0100(V0025A–V0100 製品ページ)は、ガスバラストを閉じたときの到達真空度が 0.1 mbar、V0025A は 0.5 mbar で、低真空と中真空の境界に位置する。酸化防止添加剤入りの鉱物油型真空ポンプ油を選べばよく、高真空拡散ポンプ油まで必要としない。後者は粘度が低く蒸気圧も低いため、この種のポンプではかえって油膜が薄くなりやすい。
粘度等級は四つの要素で決める。回転数、油温、すき間(クリアランス)、吸気温度である。回転数が高い場合は一段階低い粘度を選ぶ。50Hz では多くの機種が 2900 r/min、V300B は 1500 r/min であり、同じ使用条件なら大型ポンプは一段階高い粘度を選べる。油温が長期にわたり高い場合(工場内が高温、連続運転、冷却風不足など)は一段階高い粘度を選ぶ。冬季の冷間起動が多い場合やポンプ室内のすき間が小さい場合は、粘度が高いと吸油が遅くなり、始動電流が大きくなる。
60Hz 地域への輸出は個別に確認する必要がある。仕様書には一部機種が 60Hz 地域に適さないと明記されており、回転数が上がると油温と油品要求が変わるため、注文前に工場へ該当構成を確認すること。
2. 計算例:油の状態が排気時間にどう表れるか
粗引段階では次の式で排気時間を見積もる:
t = (V / S) × ln(P0 / P1)
V はチャンバー容積(m³)、S は有効排気速度(m³/h)で、t を秒に換算するには 3600 を掛ける。
V0100 を一台例に取る。公称排気速度は 100 m³/h で、2 m³ のチャンバーを 1000 mbar から 10 mbar まで排気する。まず有効排気速度を求める。配管、バルブ